「アッ。も、無理ぃ、お腹寂しいぃ」 「なんじゃもうへばったのか?さっきまであんなに……」 いっぱい咥えてたのに。 「アッ…ア…♡」 低い声が脳を揺らす。 想像しただけで腹が切なさげにきゅうと鳴り、涎がじわりと口内に分泌された。焦らされ続けた身体では力もうまく入らず、椅子に座る兄の足に顎を乗せるようにしてへたり込んだ。 目の前で欲しいものを見せびらかされ、その手に握られたものが欲しいと猫のように浅ましく媚びてしまう。 「食べていい?ねぇ兄貴…もう我慢できない…」 「本当におみゃあはこれが好きじゃなぁ」 男らしいゴツゴツした指を目で追う。太くて少し黒っぽい。ゴクリと唾を飲み込んだのをクスリと笑われ端ないと思われただろうかと少し不安になる。 「…じゃあこれで本当に今日は最後じゃからな」 「うんっ!うんっ!」 ズルリと兄の手によって皮が剥かれたそれを大きく口を開けて頬張った。 「そんなにバナナ食ってるからゴリラって言われるんじゃぞ。今日はそれで7本目じゃ」 「だってバナナ美味しいんだもん。ねぇ知ってる?この黒いやつがいっぱいある方が甘くて美味しいんだぜ」 「それ教えたの俺じゃ」