御作「墨香の檻」を読み終わりました。語り手が語る地の文を読んでゆくのが気持ちよく、すらすらと読めること、だんだんと周りが見えなくなってのめり込み文字の向こうに浮き上がる情景を眺めるようになるあの感じを、最初の10ページ程ですっかり味わわされ、それからは結末まで一直線でした。私は文字で物語を綴る事ができないので斯様な魔法に飲まれるたびにどうしたらこんな事ができるのだろうとある意味打ちひしがれます。小さな本の中に生きている物語という景色。生きている物語を書ける腕に感嘆するばかりです。 心地よい読書体験ができて満足に思います。 受け手を責めること、責められ感じている受け手の壮絶な色気。そこを書き尽くす性描写。縄の手触りと墨の香り、薄暗い洋館、日本家屋。全てが作用し合っていてまさに上質なポルノ。文字でしか摂取できないエロでした。上手く言えなくてすみません。ご気分を害さない事を祈ります。