NMEH+PMM 子犬が砂漠の真ん中に落ちてきた。 「お目覚めかな」 横たえておいた体がもぞりと動き出す。 「砂嵐の中落ちてきて目を覚さないから、ヴェ…同僚が日暮れ前に街に連絡しに行った」 「脱出の辺りまでは覚えている、助かった」 起き上がって問題なさそうなのを確認して水を手渡す。手の動きにも障害はなさそうだ。 「放っておこうかと思ったけど…伴侶を思い出してね」 「その人は?」 「世界中飛び回ってる」 「僕に似てる?」 腹を立てるかと思ったが、それより関心を引いたらしい。 「似てる気がしたけど全然違う。血の匂いは近いから、近縁かも」 「血?」 「聞いたことがないんだ、家族の話」 家族が引っ掛かりになっているのか。ずっと凪いでいた心が揺れるのが見える。血の話を上手く誤魔化せたのはいいけれど。 「話題に事欠かなくて家族の話まで辿り着かない」 「素敵な人だろうね」 「千と一夜あっても語るに足りない」 好奇心を浮かべる虹彩が、一瞬彼のものと重なって、風がシャツの下を通り抜ける。 「一晩はある」 「脱出レバーはないからな飛行士君」 「マ、いや、ピートだ、そう呼んでくれ」