走り去っていくバスを見て立ち尽くしてしまったセーラに 怜は背中から再び声をかけた。 「バスもう出たで」 その声にセーラはあわててバスを追って走り出した。 怜を背負ったまま高速道路へ出たが、すでにバスは見えなくなっていた。 セーラはバスの走っていったほうへ向かって高速道路を走り出した。 (高速道路への人の立入はできません。高速自動車国道法第17条) セーラの頭の中はこれからのことでいっぱいになっていた。 自分と怜がいなくても、千里山女子が簡単に負けることはないだろう。 ただ、怜はエース。 エースの不在はチームに何かしらの不安を与えてしまうかもしれない。 足が重くなって、呼吸も乱れてきた。 それでもセーラは全力で走り続けた。 だんだん頭の中が真っ白になり、周りの景色が見えなくなってきた。 だが、しばらくすると今度は苦しさがなくなり、身体も軽くなってきた。 「バスが見えた」 怜の声にセーラは現実に引き戻された。 視線の先に時速80kmで走るバスの後姿が見えた。 それと同時に、再び身体が重さを感じるようになった。 それでもセーラは全力で走った。 バスを追い抜くために。 つづく。