「冷やししげる〜、冷やししげるだよ〜」 台車を押す男が呼び売りする。 荷台には、パンツ一丁のしげるが両腕で自分の体を抱き、鼻水を垂らしてガチガチと震えていた。 「おじさん、冷やししげる一つ!」 「こっちにも!」 路上にいた男女が駆けより、男に小銭を渡して、しげるのプニプニしたお肉に両手を押しつける。 「ふぅ〜、冷たい〜」 「生き返る〜」 ぶり返した暑気に、冷凍室で冷やされたしげるの体は歩行者たちに冷気をもたらした。 しかし、道の反対側からもう一人の呼び売りがきた。 「冷やしゆりしーず〜、冷やしゆりしーずだよ〜」 台車の上では、パンツ一丁のゆりしーずがガチガチと震えている。通行人たちは、しげるから離れ、新たに現れたゆりしーずの周りに集まった。人垣の隙間から、ゆりしーずは鼻水を垂らしながら、しげるに不敵な笑みを送った。しげるは歯噛みした。 ここは冷やし中年男性の激戦区。太陽は、熱い。