「バスもうすぐ出るでー」 セーラは大きく手を振りながらもう一度呼びかける。 竜華は怜の手を引いて少し早足になって戻ってくる。 ほんの少しの距離だったが、怜は少し呼吸が荒くなっていた。 「竜華、ちょっと早いで」 「あ、ごめん」 怜の言葉に、竜華は怜の顔を覗き込むようにして謝った。 怜の顔色はそこまでひどく悪いということはないが、表情から疲労が見える。 心配顔の竜華に浩子が後ろから声をかける。 「清水谷先輩、心配はわかりますが部長としての仕事が……」 「そうやけど」 「ここは任せて、先に戻ってください」 そんな竜華と浩子のやり取りを見ていてセーラが言った。 「怜のことは俺に任せてや」 そういってセーラは怜を背負った。 背負っているセーラ、背負われている怜を見て竜華は少し安心した。 「先行ってるから」 そう言いながら竜華は浩子と駆け足でバスのほうへ戻っていった。 「俺たちも行こうか」 セーラは背中の怜にそう話しかけると、ゆっくりと歩き出した。 怜はそんなセーラの背中に少し強めにしがみついた。 心地よい、力強い、そして優しい温かさが怜の身体に伝わってくる。 つづく。