とん、ぱと、ぺん。とん、ぱと、ぺん。 不思議なリズムとともに、色鮮やかな布地がやこさん職人の手によって織り上げられていきます。 やこさんを使った布は保温性・吸水性にすぐれ、丈夫な生地として重宝されています。 また、やこさんの明かりに照らされることで、最上質のやこさんで織られた服は生糸とはまた一味違う光沢をもち、社交界の花形達が垂涎するほどの高級生地として高名です。 そんな生地を織り上げるやこさん職人たちは、仕事とは別にひとつの布を織り上げているといいます。ある人は自分を鍛えた師匠の引退祝いに合わせて。ある人は恋人へのプロポーズのため。ある職人は先日産まれた我が子のため、その子の成人祝いにちょうど間に合うよう、幾重ものやこさんを合わせて織り上げています。 この生地で作られた服に袖を通すとき、彼らはきっと感謝の思いを抱くのではないでしょうか。自分がこんなにも人から愛に包まれていたことに。そして、日々がこんなにもあたたかくやこさんに包まれていることに。 「やこさん、ありがとう」 仄かなやこさんの明かりに声をかけるその姿は、どんな舞台衣装よりも輝いて見えることでしょう。