寝るまえのお楽しみに、毎晩と同じく、俺は相棒のしげる(クマのぬいぐるみ)を枕元においてやった。 「今日、観るのは『マトリックス リローデッド』だ。単純なアクション大作だった前作より、哲学的なテーマが深まってるんだ。ラストの10分に渡るネオとアーキテクトの対話は、いつ観ても圧巻だ」 俺はしげるにサングラスをかけてやった。愛らしい子熊が、ちょいワル熊(ベアー)に早変わりだ。 「おかえり、アンダーソン君」 サングラスをかけたしげるをフリフリと左右に揺らす。 「え?アクションが少なすぎる?おまけに、さんざん強敵らしさを強調していた双子がザコすぎる?…どうしてそんなことを言うんだ!」 俺はしげるを壁に放りなげた。瞬間、我に返り、しげるを拾いにいく。 「ああ。ごめんな、しげる。でも、1作目だって途中からのザイオンのパートが長すぎるだろ?俺たちが見たいのはマトリックスのパートなのに。それに、暗号解読プログラムが鍵屋の親父の、キー・メイカーのデザインは最高だろ?『レボリューションズ』だって、運行管理プログラムのトレインマンがいるじゃないか。…わかった。このあと一緒に『スピード・レーサー』を観ような?」