その日一松は朝から体調が悪く、喉の痛みは耐え難かった。バイト先に出ない声で体調不良を電話すると、さすがに無理に来い、とは言われなかった。 ほっと一息つき、熱っぽい身体でもう一度布団に潜り込む。 一寝入りして目を覚ますと、開いていたカーテンは閉められ、枕元にはタオルとスポーツドリンクが置いてある。ボトルを開け一気に半分ほど喉に流し込む。起き上がると寝ている間の汗を吸った、寝間着代わりのスウェットが気持ち悪い。 「あ、起きたんだ」 す、と隣室との境の引き戸が開きチョロ松が入ってくる。手には洗面器を持っている。 「汗掻いただろ、それ脱いで身体拭いて…」 兄はてきぱきと来ているものを脱がせ、絞ったタオルで上半身を拭いてくれた。 新しいシャツを着せられ上掛けを掛け直される。まだ休んでなよ、そう言って立ち上がろうとする兄の手首を掴んでしまったのは、弱っていたからだろうか。 「ねえ、もう少し、いて……」 「甘えてんじゃねえよ」 一松のその言葉に苦笑しながらそういった兄は、それでも枕元に腰を下ろし、指先でそっと額に触れ、前髪をさらさらと撫でる。 「少しは熱、下がったみたいだね」