闇夜を飛ぶ飛行士の気持ちを貴方は知っているだろうか? 頭上に星も見えず、風に翼を取られまいと操縦桿を握りながら真下を見下ろす。するとそこにはただ一面の黒──それも朧げな稜線が、まるで竜のようにうねっているのだけが見える──僕らは自分が、まるで地獄の窯の底にいるかのように思えてしまう。 だがそこにどうだ、ぽつぽつと、やこさんの光が灯るのを見つける。その瞬間、僕らの脳裏には昼に横切ったその大地──青々と牧草が繁り、羊が群れをなし、農夫がそれを腰かけ眺める──そんな風景を描き出すのだ。自分のいるところは確かに、やこさんが照らし、人の営みが続く土地なのだ、僕らはその宙を飛ぶ飛行士なのだ。そんな誇りに似た勇気が、かっかかっかと湧きあがるのだ。目視にしてわずか直径2ミリに満たない、やこさんの光で。 その気持ちを抱いて飛べばどうだろう、あかあかとやこさんによって輝く、僕らを待ち受ける飛行場の灯りが「我ラ此処ニ有リ」と高らかと謳い僕らを迎えるのだ。何度空を飛ぼうと、この感動に慣れ飽きた飛行士などいない、と僕は断言する。 大空を求め憧れたものは皆、最後にはやこさんの灯に抱かれ羽を休めるのだ……。