② 私が隠し持っていた"ある物"とは、真っ赤なカーネーション。 学校に来る時前を通りかかった花屋で貰ったのだ。 母の日が近くて大量に入荷しているカーネーション。搬入中に引っ掛かったか何かの衝撃で、茎が折れて売り物にならない。 しかも花瓶に活けるには短すぎる茎。ちょうど、手のひらの長さくらいなものだ。 花屋のおじさんに「お嬢ちゃんコレやるよ」とポンと手渡され咄嗟に受け取ったこれをどうしようかと思案していた時、咲羽先生の顔が浮かんだのだ。 いや、顔、というよりは髪だろうか。 いつも飾りっ気もなく無造作に一つくくりにしているこの髪を解けば、サラリと流れて綺麗だと私は知っている。 その黒髪に、この真っ赤な色は映えるのでは? という予想は見事、こうして的中した訳だ。 「せんせ、似合う似合う」 片手で髪飾りにされたカーネーションへ触れつつ、「花……?」と呟く先生は、廊下の窓に自分を映して確認している。 黒と赤って映えてイイ感じ。これは写真を、と懐からケータイを取り出す私の頭に、そっと何かが触れた。