その② 「──っぶは、」 ㅤそうしていたら、先に目をそらして女が吹き出した。何がおかしいのか分からない。でも先に目をそらしたからわたしの勝ちだ。 「熱計ってあげて、報告だけよろしく」 「え!?」 ㅤぽい、と。 ㅤ布団に放られる何か。たぶん体温計。 ㅤひらひらと手を振って、カーテンを閉めつつその向こうに女の姿が消えたところで、ようやく腕の力を緩める。 「ぷは!もう、どうしたの?っていうか先生もいい加減な……」 ㅤすぐに抜け出してしまう咲羽ちゃん先生に不満を抱きつつも、体温計を拾って手渡してくれる。 ㅤ受け取らないけど。 「ほら、熱計ろ?」 ㅤなんだか小さい子に言い聞かせる様な、けれど優しい話し方。覗き込んでくる先生の眉がちょっと下がっててかわいい。──から。 「せんせが、はかって…?」 ㅤもっと独り占めしていたくて。 ㅤもう一度抱き寄せて囁いた。