「セーラっ」 突然のその声と同時に、ため息をついていたセーラに 強い衝撃と温かさが背中から伝わってきた。 白い腕がセーラの首に巻きついていて背中に重さが伝わってくる。 セーラが首だけで振り向くと、そこには怜の顔があった。 「電話?」 「ちょっとな……」 怜の問いにセーラはごまかすように答えた。 別にごまかすようなことでもなかったのだが、 急に話しかけられ思わず言葉を濁してしまった。 セーラが言葉に詰まっていると怜はさらにのしかかってきて話し続ける。 「このまま部室までつれてって」 「どうしたんや?」 「ちょっとセーラに甘えてみたくなってん」 怜の話にセーラは楽しそうに答えた。 「わかった、このまま部室行こうか」 「ウチを背負ってたらバス追い抜けるんやんね?」 「えっ」 怜の言葉にセーラは思わず怜の顔を見た。 怜はくすくすと笑いながら言った。 「ごめん、話聞こえててん」 思わずため息が出たが先ほどとは違う、 不思議な嬉しさを含む口角の上がるため息だ。 怜にからかわれたことに苦笑いしつつも背中の怜に言った。 「よし、バス追い抜くで」 「さすがセーラや」 おしまい。