私が障子を開けるより先に障子が開き、目の前に私と同じ格好をした刑部が座布団に乗って目を見開いていたのだ。 あ、とお互い小さく声を挙げたが、刑部は動揺して目をキョロキョロさせたのち、どちらさまですか?と小首を傾げて見せた。 刑部は、私が石田三成だと気付いていないのだ。当たり前だ。こんな格好をしているのだから。 対する刑部の変装は、端的に言えば刑部だとすぐにわかってしまう。いつも赤い装束をしているし口布の上から口髭はないだろう。帽子などいつもの頭巾の上から被っているし、奴の美しい黒曜石の瞳はそのままなのだ。 その点、私の変装はあの賢い刑部の目も欺くことができている。刑部は大方左近のところへでも行くつもりだったのだろう。ここでは奴の顔を立ててやらねばならない。 「私は三田言う。貴様は?」 「われは…われも、その、三田と申すもの」 刑部は少し下を向き、モゴモゴとつぶやいた。普段大胆な策を繰り出している男にしては意外な様子だ。 「さ、三田ど、の、われの部屋に…なんぞようか?」 「私はこの部屋の男にクリスマスの贈り物届けに来た。貴様は?」 「われも…贈り物を届けに、よ…」