「ほら見て!海外から玩具が届いたんだって!しげる、嬉しそうだなぁ…」 また始まった。私は彼女に聴こえないように舌打ちする。最近のさやちゃんはいつもこうだ。口を開けばしげるのことばかり。やれしげるが誰それにインタビューしたとか、しげるが映画を観たとか。 ただでさえさやちゃんとは春からクラスが別れるのに、もっと、二人の時間を大切にして欲しいのに。 「それでね、しげるはヘルメットを被ることが出来なくてね…」 「もう、いい加減にして。そんな話、全然興味ないよ」 鬱屈した感情が、口から漏れ出した。 するとぱん、と乾いた音がして、彼女からぶたれたのだと、認識は遅れてやってきた。 「…もう、知らない!」 思わず駆け出していた。最近のさやちゃん、本当に何を考えているのか、全然わからないよ。 公園のベンチに腰掛け、目の端に浮かんだ涙を拭う。脳裏に浮かぶのは彼女の表情。形のいい眉毛を八の字にして、悲しんでいた。私は彼女を傷つけてしまったのだろうか。 「ねぇダイちゃん、私、どうしたら良いのかな…?」 私は鞄の中から宝物を取り出す。 灰色のダイアバトルスV2(月面基地Ver)は、何も答えてくれない。