2001年9月11日以前、すでに戦争は変質していた。アメリカ、ソ連の軍事介入。戦争は低強度紛争=高強度警察活動しか存在しなくなり、そこに主権国家の枠組みは存在しない。したがって、国際法の公然たる違反、民間軍事会社による正規軍の代替、攻撃手段としてのテロリズムの使用は当然の推移だった。 シンギュラリティ以後、その流れは加速していった… 豊島区、池袋。電気店街で銃声が響く。油圧の作動音と金属音を響かせつつ、ホンダの無人攻撃ロボが周囲を掃討する。 ディスプレイに浮かぶ《徳》の文字。ロボはゲリラたちを掃射した。背部のマニ車が回転する。シンギュラリティ以後、主権国家は弱体化し、人権を失った個人には票田としての価値しか残らなかった。そして、民営会社のロボたちが票田を争い、地上戦をくり広げていた。 ゲリラの1人がヤマダ電機の看板を撃墜する。ロボに直撃はしない。しかし、地面の障害物がオート・バランサーを妨害する。 看板を跨ごうとしてバランスを欠かすロボに、ソニー社製の多脚ロボに騎乗した、自分を安部菜々だと思いこむ中年男性が機関銃を連射する。多脚ロボのAIは元おニャン子の渡辺満里奈だ。 「カ・イ・カ・