「やめろ……やめろと言っている!」 一人の騎士が怒号をあげた。騎士は左腰に携えていた剣を抜き構える。 「それ以上侮辱するならば、貴様を殺す」 相手を睨みつけるその目は、深い憎悪の念が込められていた。 一歩、踏み出す。相手は尚も小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら立っている。 「訂正しろ。すぐにだ。貴様は、私だけでなく同胞までも侮辱した」 動く度に騎士、いや"彼女"の長い髪が左右に動く。兜を付けていないのは今が休憩中であったからだ。 「私が育った町は本当に小さなところだ。こことは比べ物にならないくらいにな」 この帝国がある場所とは真反対に位置する町。周りを森や川に囲まれ自然が豊かな場所だ。 彼女はそんな町が好きで、いつか自分も町を守れるほどに強くなりたいと願った。 町の男子よりも力が強かったため、父親から帝国の騎士を目指してみてはどうかと言われたことがきっかけだった。 「女が男に勝てるとは思うな?そんな小さな町一つ消えたところで変わらない?貴様はそれでも帝国騎士か!」 そして歯を食いしばりながら呟く。 「……訂正しろ。これが最終警告だ」 男は小さく息を吐きこう言った。 「すっごーい!」