NM/EH-2 交渉成立? 拒否など想定していない、足元を見た様子で、ウェルカムフルーツの葡萄を齧る。 「史上最悪のプロポーズだな」 「酷いのはいくらでもあった」 遺憾を全てため息に込めてから、首を縦に。 それを確認した彼の瞳が二つにぶれていく、不名誉除隊の軍曹の笑顔のまま。 手のひらが膝に置かれ、這い上がる。一番長い指が、足の付け根に触れた時に衝撃が走った。焼かれるような熱、貫かれるような痛み、皮膚が剥がれるような冷たさ、肺に水が溢れかえるような苦しさ、足元から崩れるような恐怖。経験したことのない拷問。 我に、帰った時に、心臓はまだやかましく、全身から吹き出した汗で海に落ちたのかと思うほどぐっしょりと濡れかえっている。 「……なにを?」 「口約束はよくない」 手を置かれていた場所を見れば、ひとまわり、太腿を覆うように痣。絵のようにも見える。 「気持ちよかった?」 「死んでくれ」 顎にかけられた指に強く抵抗する気力もなく従えば、鼻先が擦れ合うような距離に、あの瞳がある。 「死が、2人を分かったら」 唇がふれる瞬間、ミントではなくオアシスに咲く蓮の香りがした。