その① 「失礼しまーす」 ㅤ器用にも私を抱えたまま、先生はドアを開ける。散々嫌だって、恥ずかしいって言ってるのに、結局ここまで運ばれてしまった。 ㅤ先生の声と開いたドアに反応してこっちを向いたあいつと目が合い、先生の服を掴む指先に力が入る。 「どうしたの?」 「この子熱があるみたいなんで、お願いします」 「了解、こっち」 ㅤ当たり前にベッドまで運ばれて、柔らかい布団に下ろされた。 「ちゃんと休んでるのよ」 ㅤ優しく頭を撫でてくれる、咲羽ちゃん先生の掌。 ㅤそれが離れていくのがさみしくて、手首を掴む。 「飯島さん?」 「ん……」 「とりあえず熱計って、」 ㅤ不思議そうな先生と、その向こうに何か持って来たあの女。 ㅤそれに反応しそうな先生を止めるよう、思い切り掴んだ手を引く。 「ぅ、わ…っ!?」 ㅤ咲羽ちゃん先生の頭をぎゅうぎゅうに抱きしめて、少しだけ驚いた感じの女を睨む。 「ちょ、飯島さん!?」 ㅤ先生うるさい。今わたしはたたかってるの。 ㅤ腕の中でじたばたもがく先生を更にぎゅっと押さえ付けて。先生は渡さないとばかりに睨みつづけて。