子供の泣き声に立ち止まる玄武くんとても好きです……。(以下ご迷惑でしたら捨てて下さい) 泣き虫だった僕はよく顔をぐしゃぐしゃにして『家』に帰っていた。家族のこと、『家』のことでいじめられるたびに心も涙色だった。だけど「また泣いてんのか」と、背の高いげんぶくんがしゃがんで慰めてくれると、心が青空みたいなきれいな色に変わっていった。頭に乗った大きな手からはたくさんのパワーをもらえた。 しばらくして、僕は優しい夫婦に引き取られたから、げんぶくんと会うことはなくなった。風の噂でげんぶくんが遠くへ行ってしまったと聞いて、どこかで元気にしていてくれればと思わずにはいられなかった。 『神速一魂の紅井朱雀君と、黒野玄武君です!』 夕飯時にテレビから流れてきたその単語に耳を疑った。茶碗を持つ手も、げんぶくんとお揃いになりたくて練習した左手の箸も止まり、テレビを凝視した。 僕に澄んだ空をくれたげんぶくんは心底楽しそうに体を跳躍させていた。ぬくもりをくれた手は相棒だという紅井朱雀君とグーでぶつけ合い、そしてカメラへと力強く差し出していた。 放心した僕に、母は「来月握手会があるらしいよ」と微笑んでくれた。