You/EH 呼び鈴の音に立ち上がる君の、腰に右足をかけて引き寄せる。そのまま足首を左膝に置けばなんとも窮屈な簡易牢獄の完成、看守は僕。 「イーサン、イーティ」 躾をするときに、僕が可愛くて堪らないみたいな声は出さないほうがいい。もっと試してみようかな、すこし、ほんとうに少しだけ怒ってくれてもセクシーだろうなって、妄想を掻き立てる。 「誕生日に置いて行くなんてひどい奴だ」 「イーサンの誕生日は此間祝っただろ」 「じゃあ君の」 「今日じゃない」 「残念、あと364日のうちのどれかか」 色の違うジーンズ生地を擦り合わせたり、夏の薄衣の上にすり寄って背骨に少しだけ歯を沈ませたり。たったそれだけのことで、直接触れてもいない皮膚から細かい気泡が立ち上る。このまま気化するほど圧をかけたら?薬物耐性をつけたところで、期待と想像には効果がない。高度8200mにも存在しない小さな死は、欠伸が出るほどの平和の中にだけあって、簡単に爪先が弧を描く。 すぐに、諦めた玄関先の誰かが離れて行く音がする。ゆっくり、足を下ろして、玄関側に向かって踝を辿る、脹脛を押す。 「今ならまだ、引き止められるかも?」