件の東風は、事が済んだら自分でその辺の桶か何かで水でも被って、少し相手を侮っていたかもしれないと軽く反省して、相手にちょっと身勝手がすぎるのではとお小言を言ってからまあまあさっぱりした顔で戻ってくると思う。我々が思うよりも彼にとっては小事で、彼の足下に泣いてふせったら多分彼は笑うと思う。吐くほど苦しいと伝えてもまあ微笑むんじゃないかと思う。子供に体を貸してやったただそれだけの事と。終に至るまで作中一時間はあっただろうから、あの体勢からでも必要なら髪を引き抜くなり指を折るなり爪を剥ぐなりできたろう。それをしなかったならそういう事だろうし、できなかったというならもうそうなるしかなかった。というのが私の中の東風像ですが、Aさんの様子を見ると、踏み絵とはこういう事かと何となく思いました。踏むか踏まないかではなく踏めないとはこういう事かと。馬鹿にしているのかと言われそうですが、感嘆して。是非そのままでいてほしいと思いました。