その日、中央自動車道は無人だった。高架道路の幅広の路面は沈黙し、縹渺とした光景を見せていた。 車道の中央に人影がただ一つ。たまごんだ。その正面に、しげるの恋愛コラムの受講生、千二百人。受講生たちは群衆となり、路面を埋め尽くしていた。 たまごんが沈黙を破る。 「はァーッ!」 叫声をあげ、人垣に吶喊する。 「あァーッ!」 それに応え、受講生の集団はバッファローの群れのように、一斉に駆けだした。 無数の人影に、たまごんが突入する。 「いやァーッ! はッ! はッ!はァッ!」 人数に一瞬で圧殺されるかと思いきや、たまごんはしげるの恋愛コラムの受講生たちを蹴散らした。 手刀、掌底、前蹴り。最低限の動きで大人数を間髪入れずに昏倒させてゆく。だが、受講生たちは際限なく四方から押し寄せてくる。 たまごんが背面に両手を伸ばす。ふたたび正面に戻った両手には、二振りの刃が輝いていた。 「いやァーッ!」