「オーケイ!じゃあもう一度だけ説明するね!わたしはイチコ。怪文書を書き、怪文書を書き、怪文書を書いてきた。ここまではいい?」 しげるの部屋には無数の女子中高生が犇めいていた。そのため中年男性の部屋はデオコを散布したような匂いに包まれていた。 「待ってくれ。なんでそのイチコが大勢いるんだ?」 しげるが尋ねると、イチコの一人が顔を傾けた。肩口で黒髪を切り揃えており、絹糸のような髪がサラサラと流れた。 「それはわたしも疑問に思っていました。しかもわたしたちに共通しているのは、《自分がイチコである》という自己認識だけです。わたしのことは文学少女イチコとお呼びください」 少女たちに一人だけ混じった、とっぽい青年が言う。 「一号先輩です。僕にも何がなんだか…」 「少なくともあなたが本物ということはありませんね。イチコが男のはずはありませんから」 文学少女イチコがそう言うと、他のイチコも同時に頷いた。 ミラーシェードをかけて、日本刀を佩刀したイチコは、画面を点滅させて同意を示した。 「意思疎通のできなさそうなイチコもいるんだが…」 「しげるさん。あなたが本物を決めてください。『五等分の花嫁』です」