NM/EH-1 砂嵐の中に終着点が見えかけた瞬間、みえた瞳。 大きく、肺を絞ってインカムに語りかける。 「ベンジー、危機は脱した。一週間後に合流する」 言い切れただろうか、返答を確認するまえに、深い砂に落ちた。 「どういたしまして」 「助かった」 殆ど、強制されたような形で礼を口にする。不服だが助かったのは事実だ。 「ここは?」 「ロイヤルマンスール」 経費はラングレーから落してくれ、などと曰いながらカップを差し出してくる。爽やかな匂い、モロッカンミントティーだろうか。 「猫も命は九つしかないらしい、そろそろ引退は?」 「僕が不要になれば」 「なるほど、じゃあ結婚しようか」 喉を通りかけていた茶が勢いよく詰まる。気管を震わせて苦しむ様子を見て、心配ではなく嫌悪感をだして自分の私物を引き上げる。せこい神もあったものだ。 「すぐにじゃない、君の肉体が死んだあと中身をもらう」 「何のメリットが?」 「生きている間は、手に負えない案件は力になろう。人同士の諍いは除く」 「君に殺されそうな気がするが」 「直接手は下さない」 「信じろと?」 「神は人を弄んでも、詐欺は働かない」