「山手線ってほんとうにぐるぐる回ってるんですね。本数も多いし、運転手さん、目が回っちゃいそう」 そう言って、夏らしくさっぱりと髪を切り揃えた少女はタオルに水を吸わせた。 銭湯帰り、にわか雨に打たれていた少女をしげるは拾った。 今年高校に入学したばかりという彼女は九州の田舎町から神奈川の親戚を訪ねてきたという。少女のブラウスは濡れて肌にはりつき、うっすらと白い肌の色を透かし「…着替えるので、あっちのほうを向いていてください」 そう懇願して、少女は鞄から〈マノウォー〉とプリントされた黒いTシャツを取り出しすので、慌ててしげるは顔を背け、しばらく、きぬ擦れのか細い音だけが室内に響いてた。 「…男の人向けのオモチャも、なかなか凝っているのですね」 着替えながら少女は言って、恐らく机の上に置いていたFalloutのアクションフィギュアを見ているのだろう。 「わたしも小さい頃は、よくリカちゃん人形で遊んでました」と彼女は言葉を続けて「本当によく出来てますね。この…ガン…ダム?」 その言葉を耳にした途端、 「今すぐ帰ってくれないか?」 しげるはキレた。