瞼の裏に、鈍い光と朝の気配。鉛のような身体を起こし、ふと自分のものではない温もりを感じて視線を横に。今ではもう見慣れた、さらりと流れる水色の髪に、けぶる睫毛。あぁそうだ、昨日はHiMERUくんと有り余る程愛し合ったんだっけ。二人共夢中で求め合って、体力を使い切ってしまって。どうにかお互いの身体を拭いたところで、記憶が途切れる。 「ぅ……」 小さな声に身じろぎする。起こしてしまっただろうか。今日は予定がないと言っていたから、このまま充分に寝かせてあげようと思ったのだけど。 「…ぎ……あまぎ…」 思わず心臓が縮む。明確な意味を持った単語に、聞き馴染みがあるからだ。浮かぶのは、赤の髪を生意気に跳ねさせた細身の男。愛おしげに繰り返される、その名。 明白だ、分かっていた。自分が彼に、彼の、一番でないことなんて。分かってはいたけど、狭量な自分には重すぎる現実だ。だからといってどうする事もできない。彼の望みと、自分の理想が交わることは決してないのだと、改めて知る。 「ん…、おや。起きていたのですか、クボタさん」 彼が細枝の身を起こす。先程までの苦しみは、何も言わず口付けと共に彼の薄い唇に押し込んだ。