我輩はペロ(雑種)。江口家の飼い犬だ。今日はご主人様が久し振りに家に帰ってくる日ゆえに上機嫌である。と、噂をしていたら早速だ、ご主人様達が帰って来た。しばらく見ないうちにまたきれいになった。プロになって忙しいみたいだが、食事や睡眠はしっかりしているのだろうか。…その笑顔から察するに大丈夫そうだな。対して横の貴様は相変わらずだな。確か…○○とか言ったな。我輩はその腑抜けた顔が嫌いだ。とてもご主人様の旦那が務まるようには思えん。知っているか?ご主人様は家の前の道路までは疲れて帰ってきても、玄関では笑顔で「ただいま」ということを。知らないだろう。本来ならば吠えて喝を入れるとこだが、ご主人様が抱えているその『コドモ』が泣いてしまうのでな。見逃してやろう。…いいや違うな、我輩のこれは嫉妬だな。昔我輩を抱いていた華奢な腕は新たなる生命を抱き、伴侶は我輩がご主人様と過ごした年月よりも長くお互いを知っていく事への嫉妬。情けないものだな。…小僧、ご主人様とその『コドモ』は貴様に任せよう。かっこよくて可愛くて豪快で繊細で笑顔が素敵なご主人様をな。