またしげるがインターネットで怒っているみたいだ。 端末に向かって怒り狂いながら打鍵する彼の背中から目を逸らして、僕はスマートフォンに目を向ける。 タイムライン上にするすると怒りに塗れたしげるの文章が表示されていく。どうやら内容は例の如く模型技術に関するものらしい。僕にはよくわからないけれど、その手の話題に関してはしげるは非常に硬質な態度を取ることが多く、まぁ誰にだって譲れない一線はあって、しげるの場合はこれがそれなのだろう。 でも僕はしげるが怒っているところをみるのがあまり好きではない。だから怒れる彼の背中に向かって「ねぇ、このくらいでやめときなって」と声を掛けるのだけど、「ああん?」としげるは声を上げて、すっくと立ち上がる。 今の「ああん?」はよくない感じだったふうだった。現にしげるは無表情で僕の前に立っていて、ぺん、と頬を叩く。はられた頬は熱を持つよりも前に、彼の体重が僕の身体に圧しかかってくる。 ここには愛情の類はない。ただのうっぷん晴らしだと思う。 それでもしげるが僕に触れてくれるなら、どんなかたちであれ、僕を求めてくれるなら、それでいいと思う。