「なぁ、リラックマ。そろそろ布団干すから、そこからどいてくれよ」 しげるがそう促すと、韓国俳優のマ・ドンソクを彷彿とさせるむくつけき男が出しっ放しにしていた布団の上からむくりと上体を起こし、そのままのそのそと動き出した。 内側に詰まった確かな重量を感じさせる鈍重な足取りでリラックマは部屋の隅に腰を落ち着けた。しげるはようやっと半ば万年床と化していた布団を床から引き剥がすも、その間リラックマは無言でしげるを睨み続け、圧力をかわすようにしげるはため息を吐いた。 リラックマ……暫定的にそう呼んでいるが、この謎めいた成人男性が彼の家に居着いて一ヶ月か経過していた。 当然、しげるとしてはこの異邦人から出て行って貰いたい気持ちでいっぱいだったが、しかしこのおよそコミュニケーションが成立しそうにない怪人物にどう切り出せば良いのか……。 「だったら、俺がガツンと言ってやるよ」 「剛……」 日焼けした逞しい腕をぬぅと伸ばし、押入れから長渕剛が姿を現した。