サイト内小説「篩われたのは〜」をお借りしました。 sidePM 「もう飛ばないで」「俺のそばにずっといて」 言うつもりはなかった。 俺たち空に生きる者にとっては死刑宣告のようなものだと分かっていたから。 でも。だからこそ。そうでもしなきゃ。 俺を、俺との約束を忘れたアイツはきっとまた同じことを繰り返すから。きっとアイツの翼が折れない限り、もしかしたら、たとえその行為で己の命の灯火が消えようとも。 そして白い部屋に横たわるアイツの横で、もう目を開かないかもしれない恐怖に怯えながら涙に溺れることになるから。 薬指につけた、見えない束縛の痕を睨みつけてなぜアイツをこの世に縛り付けてくれなかったと怒りをぶつける事にはなりたくないから。 だから、これは、俺が息をするために、俺が無事に陸に帰ってくるために、お前と笑顔で話す為に必要な事だから。 それに、アイツが笑顔で俺を迎えてくれるんだから。こんなに嬉しいことはない。 だから、アイツが俺を忘れていたことなんて、つらくない。かなしくなんて、ない。 アイツについた嘘も、“本当”になったんだから。 この目から溢れるものは、きっと嬉し涙だ。