NM/EH-初夜-パターンA-3 肝心なとこ飛ばしちゃった。 ふと、意識が上がってくるのに合わせて重い瞼を少し押し上げる。空はまだ深いけれど、都会の照明より多い星のおかげで暗さはない。体にまわる腕は、一定の間隔で呼吸を繰り返していて目覚めも遠そうだ。 砂漠の豪雨のような一夜だった。 酷く渇いているのに、ただ青いばかりの空。ほんの少し毛先が丸まった気がして期待に鼻先をあげても、うっすら白い靄は、雲か期待かもわからない。ただ焦らされる。 ようやく、頬に何かが当たる。水滴、それも小さな、皮膚の薄いところでないと気づかない程。それが、境で、最後の砦だった。針先程もなかった雨粒は一気に皮膚を突き抜けるほど重くなって、隙間もなく叩きつけてくる。 水を吸うようにできていない砂漠の上を滑り落ちて、足元から崩れる。飲み込まれて、侵食され、なかで水と砂が暴れ回る。体も意識も自分の制御下から離れてしまった。 「初めてだから、お互い覚えていられるように、ゆっくりね」 肩から、上着を落とす時に言っていた言葉自体には嘘がないのがまた腹立たしい。まだ余韻がひどく響いていて。よかったし、ひどかった。