「三成様も刑部さんにクリスマスプレゼントあげたらどうですか?お世話になっているんだし?」 左近の口調は、いつもの軽やかで調子の良いものだったが、どこか私を焚きつけるような趣もあった。私は左近が部屋去ったのち、行李にしまってあった三田という翁の衣装を取り出した。昨年のこの頃、大坂城でクリスマスパーティーなる催しが行われ、その時に半兵衛様から頂戴したものだ。 上下の赤い着物に、帽子、口髭を模したもの、そして白い大きな袋。この中には左近に言われる前から買っておいた刑部への贈り物が入っている。奴の欲しがっていた唐来の書だ。これを寝ている刑部の枕元に置いて帰る、造作もない。 残念なことがあるとすれば、明日の朝これを喜ぶ刑部を前に素知らぬふりをしなければならないことだ。 私はいつも刑部が就寝する頃を見計らって自分の部屋を抜け出した。刑部の部屋の前に来ると、やはり部屋に明かりはなく、物音もしない。私は一呼吸置いて、音もなく障子を引く。 筈だった。