「…ねぇ、もう一回だけ、いいでしょう?ねぇ?」 「うるせぇ!終わったんならとっと帰りやがれ!このスベタが!」 擦り寄ってくる尻軽女をベッドの上から叩き出し、扉越しに聴こえてくる耳障りな悪態から隠れるようにして頭から毛布を被った。 畜生、近頃の俺はどうにも変だ。 どれだけ女を抱いても、浴びるように酒を飲んでも、この胸に巣食うわだかまりは消えることなく、日に日に色濃くなってゆく。どうしようもなく、惨めな気分が吹き溜まっている。 「しげる…、どうして…、お前は…」 突然現れた松屋のごろごろ煮込みチキンカレーはいとも容易くしげるの心を奪い去った。 どこの馬の骨とも知れない復刻メニューの癖にお高くとまりやがって…。俺の方が、何倍も、何万倍もしげるを悦ばせてやれるのに…。 眠れない。俺は目元をさすりながらベッドから抜け出して、キッチンの前に立つ。 ステンレス製の寸胴鍋では一週間かけて煮込み続けている俺の特製ちくわカレーが完成を待ち侘びながら泡立っている。 ああ、しげる…。はやく家においでよ…。はやく家にきて、俺と一緒に腹一杯俺のちくわカレーを食べようぜ。 俺はいつでも待ってるぜ。