僕がゲームをしていると、背中に柔らかいものが当たった。 「コラ、しげる。なにをチンタラやってんだ」 ここの家主の一号先生だ。黒のロングヘアで、どうしてなかなか美人だ。身長も高い。あと、おっぱいが大きい。 一号先生は数年前のハヤカワSFコンテストで大賞私受賞して以来、ヒット作を連発している売れっ子作家だ。 ある日、僕は松屋で牛皿を肴に原稿を執筆している一号先生のノートパソコンに、ごろごろ煮込みチキンカレーをぶっかけて、データを破損させてしまった。先生によると、それは未曾有のベストセラー間違いなしの会心作だったらしく、それ以来、僕は先生の家で住みこみで働いている。 「『SIREN』のRTA動画で広告収入を得て借金を返済するんでしょ? そんなゆっくりでどうするの」 「これは春海ちゃんの視点なんですよ。ああ、もう十回も撮りなおししてるのに!」 一号先生の妨害で、プレイはまた失敗した。 「まあまあ。もしこれで君が借金の一部を返済したら、これからはお米とタクアンの食事に、メザシも付けてあげるから」 「そんな、頭脳屍人と化した高遠先生が一瞬だけ見せる人間性くらいの人間性を見せられても…」