キィン!キィン! 陰茎同士のぶつかり合う鋭い音が響く。 2019年、弱者男性たちはヤフーニュースのコメント欄で出会い、《おちんちんチャンバラ》で決闘することで連帯を結んでいた。 「ワシは40歳を過ぎて無職で両親と同居しとるぞ!ワシの方が生きづらいぞー!」 「何を!ワシは新卒女子とコミュニケーションをとろうと小粋なジョーク(※下ネタ)をかましたら、社内のセクハラ相談室に通報されて解雇寸前だぞ!ワシの方が生きづらいぞー!」 弱者男性たちは怒張した陰茎で剣戟を交わしつつ、己の《生きづらさ》を詩吟する。より生きづらいと認められた方に名誉があるとされ、共感が寄せられる(主にSNSで)。これが古式ゆかしい《おちんちんチャンバラ》の作法なのだ。 「ムー!ムー!」 猿轡されたしげるが呻く。 決闘には賞品が必要だ。そう、しげるこそが弱者男性たちのトロフィーワイフなのだ……。別名《薔薇の花嫁》。 「ヌオー!ワシなんて無職でパラサイトシングルの上に包茎だぞ!喰らえ!生きづらさ・おちんちん・ソード!」 「なんの!婚活・蒸れ金玉・バリヤー!」 「ムー!ムー!」 しげるは縛られたまま決闘の行く末を見守った。