背負われている怜にとって、セーラの背中は心強かった。 以前はこんなに近づくこともできなかった。憧れ、遠い存在だった。 チームのエースとして最前線で活躍している背中を 過去の怜はただ見ているだけしかできなかった。 「もうすぐ着くで」 セーラのその声に怜は我に返った。 セーラのその背中の温かさに少しうとうとしてしまっていたようだ。 「もう少しまわり道せえへん?」 そう言ったと同時に、怜は自分のセリフに驚いた。 そして、自分の言葉に恥ずかしくなってセーラの背中に顔をうずめた。 「ちょっとだけな」 セーラはそう応えると、またゆっくり歩き出した。 怜はうれしさと恥ずかしさでどうにかなりそうだった。 でも「もうちょっとだけ」とセーラの背中に体を預けた…… 「あっ」 セーラの声に怜は再び我に返った。 また眠ってしまっていたようだった。 あれからどれくらいたったのだろうと怜は辺りを見回した。 すると、目の前で見覚えのあるバスがこちらに後ろを向けて進んでいた。 バスはサービスエリアから高速道路へと走り去った。 セーラの背中で怜はポツリとつぶやく。 「バスもう出たで」 つづく。