その姿は神聖でした。 しんしんと雪が歌う夜、静寂に沈んだ礼拝堂に、彼女はそっと佇んで居たのです。ああ、それはそれは静かでした。窓を越して彼女を照す月明かり、それに踊る塵埃、光が空気を染める音が、塵が風切る音が聞こえるかのよう。不粋に騒ぐのは私の心臓くらい、彼女を見つめるほどにどくんどくんと五月蝿くなって、静寂な世界を汚していくかのようでした。 ここに私が居てはいけない。彼女の世界を汚すのが怖くなって私は駆け出しました。雪をかき分けて走って走って、やがて頬と鼻の頭が引き裂けそうになって、ようやく立ち止まりました。心臓はまだ、狂ったように弾んでいました。 私はきっと、見てはいけないものを見てしまったのだと思います。だって、あれほど静かだったのに、私の鼓動が、高々と響き渡るほどだったのに、彼女のそれは、全くといって聞こえなかったのですから。 ポケットに残していたキャンディーを口に放り込み、また歩き出しつつ、私は彼女の姿を目蓋に浮かべました。 一体……なんだったのでしょう? 次の日私は、マップによくいるお菓子屋さんに聞いてみました。 『なにそれ怖い……おばけ知らない。多分バグ』