銀座にある割烹料亭〈岡星〉にて、東西新聞社の記者である山岡と栗田は待ちぼうけを食らっていた。 「おかしいわ…こんなに遅れるなんて…」 栗田は手首を返して腕時計の文字盤を確認する。待ち合わせの時間から、すでに一時間以上経過していた。 「準備は万全なんだ。あとは奴さんさえ来てくれれば…」 山岡は腕を組み、厨房の内側では店主である岡星に作らせたカレーが大鍋で煮えている。 一週間前、松屋で出会ったライター業を営んでいるという男と些細なことから口論になった山岡はここ岡星で「本物の松屋のカレー」を食わせる手筈になっていた。にも関わらず、待てど暮らせど男は一向に現れる気配がない。 (山岡さんの挑戦を受け取ったのに来ないって…どういうつもり?何か、狙いがあるのかしら…?) 一方、自宅でパワードスーツのトイを並べて遊んでいたしげるははたと手を止めて……そういえば、一週間ほど前に松屋で妙な男に絡まれ、そこで銀座にある店に呼びつけられたのが今日、だった気がする。どうしようか?今から足を運ぶか…?三秒程度思考するも、結論は自明で…そんな厄介な奴に、これ以上付き合うわけがないだろう。しげるは遊戯を再開した。