「お待たせしました。」 加賀の素っ気ない声が彼にだけは聞こえた。 彼が虚空に手を伸ばし塹壕から身を乗り出したところをフランス軍狙撃兵が捉えた。 一発の銃声が轟き、カエデンドルフ上等兵は絶命した。 以下はその日、前線から司令部に送られた電文である。 「西部戦線ハ静寂ナリ」